大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所 昭和60年(ケ)486号 決定 1985年7月19日

債権者

商工組合中央金庫

代表者理事長

佐々木敏

債権者支配人

奥平次男

債権者代理人

河上靖夫

債務者兼譲渡人

片部隆昌

譲受人有限会社一幸舎代表取締役

木田俊夫

主文

債権者の本件増価競売の申立を却下する。

理由

債権者は、昭和六〇年五月三〇日債権者に到達した書面により譲受人有限会社一幸舎が滌除の申出をなしたが、右申し出の額は受け入れられないので増価競売の請求をなしたとして増価競売の申立に及んだものである。

ところで増価競売は、滌除に対抗する手段であつて担保権者がその意に反して担保権の実行を強制される手続であるところ無効と考えられる滌除の申し出についてもこれが有効な滌除の申し出と評価されて滌除の効果が発生することをおもんばかつてやむを得ず増価競売の申立に及ぶことがありうること、適法な滌除の存在が論理的にも増価競売手続の前提となることからいつて、競売開始申立の時点で滌除の申し出が無効であることが明らかである場合には担保権者が通常の担保権実行として続行することを望む場合を除いては増価競売の申立を却下するのが相当である。

本件においては、一件記録によれば譲受人からの滌除の申し出は、債権者が抵当権を有していない別紙物件目録(3)の物件(以下「物件(3)」という)を含めた同目録記載の3筆の物件について債権者の外の抵当権者を含めて一括して七〇〇万円で滌除をするというものであるが、増価競売も担保権実行にほかならないからその申立をなすには抵当権が当然必要であつて物件(3)については債権者は増価競売の申立をなし得ないのでその余の物件についてのみ増価競売の申立をすることとなるところ、前記の滌除の申し出によつては別紙物件目録記載(1)、(2)の物件のみについての価額が明らかでないため十分の一の増価をした額も当然明らかでないこととなる。したがつて増価競売として進行させることは不可能といわざるを得ず右滌除の申し出は無効であることが明らかである。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判官富川照雄)

別紙物件目録

(1) 千葉県八千代市八千代台北一〇丁目 三六六番一八

宅地 一七一平方メートル一六

(2) 千葉県八千代市八千代台北一〇丁目 三六六番地一八所在

家屋番号三六六番一八

木造瓦葺二階建居宅

床面積

一階 六六平方メートル五八

二階 四五平方メートル三八

(3) 千葉県八千代市八千代台北一〇丁目 三六六番二四

公衆用道路 六〇平方メートル

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例